「紅く染まる」-短編ラジオドラマ脚本-

※初めての方は利用規約を必読ください。

☆11月の紅葉にピッタリな淡い青春ラジオドラマ(約1000字:約3分)

〈キャスト〉
・日高 聡一 (男) 大学生
・月村 秋菜 (女) 大学生

聡一 「写真、撮りに行かない?大学の課題でさ」

秋菜 「しょうがないなぁ、日頃の借りを返してあげよう。」

聡一(M)『彼女、月村 秋菜は高校からの付き合いで大学に入ってからもなにかと仲良くしてる友人だ。』

   SE 足音

秋菜 「聡一といるとさ、気分が楽だわ~」

聡一 「そりゃ俺に荷物持たせりゃ、負担も気分も楽だろうよ」

秋菜 「つべこべ言わずに歩く!紅葉撮るんでしょ?日が暮れたらとれないよ」

聡一 「はぁ…なんで紅葉なのかな。景色なんて興味ないっての。」

秋菜 「なんで?綺麗じゃん」

聡一 「綺麗??バカ言うなよ、あんなんただの成長過程だ。俺らが歳をとれば身長が伸びることを周りが凄いねーって言ってるのと一緒。身長なんて別にどうだっていいことなのに。」

秋菜 「聡一の背が小さいからって身長を引き合いに出さないでよ…そういう論理的なとこ、好きじゃないなぁ…」

聡一 「もともと好きなとこなんてないだろ」

秋菜 「そんなことないよ?荷物持ちとか、学食の席取りしてくれるとこ好きだし。」

聡一 「それだけ聞くとパシリなんだが。」

秋菜 「じゃあ横を歩いても気にならない身長と、ヒールを履けば抜かせる身長とか?」

聡一 「身長を弄りたいだけだろそれ」

秋菜 「あーパソコンのことで困って電話したらワンコールで出るとこ!」

聡一 「カスタマーセンターじゃねぇんだよ!Siriにでも相談してろ!」

秋菜 「ヘイ聡一、パン買ってこい」

聡一 「やっぱりパシリじゃねーか!!」

秋菜 「あははw面白いよね聡一はさ。」

聡一 「…。」

秋菜 「そう言うとこ、好きだよ」

聡一 「…好感度、調整すんな」

秋菜 「あ、ほら紅葉、見えてきたよ!撮って撮って!」

聡一(M)『夕暮れも相まって紅葉は綺麗だった。確かにこれは認めざるを得ない。秋菜は走り出して、俺はカメラを構える。そうだ、振り返った瞬間を撮ろう。人はカメラを構えてから時間が経つほど不自然になる。なら振り返った瞬間は1番自然な表情になるはずだ。ファインダーを覗く。紅く染まるモミジ、紅く染まる夕暮れ。そして振り返った彼女の顔も…紅く染まっていた。』

聡一「…綺麗じゃん。」

   SE シャッター音

聡一(M)「シャッターが静かに、恋の音とともに、落ちた。」

————fin————–

余談:放送研究会11月ショート作品にて公開

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