「真っ暗な道を、登る。」-短編ラジオドラマ脚本-

※初めての方は利用規約を必読ください。

☆就活真っ最中の学生2人を描く青春ラジオドラマ。(約700字:約3分)

・石井 健司 (男) 大学生 就活中 夏美とは高校からの友人
・佐々木 夏美(女) 大学生 就活中

    SE フクロウが鳴いている

健司 なぁ、本当に登んの?真っ暗じゃん。

夏美 あったり前でしょ、日の出を見るならこの時間から登らないと。

健司 でも、スーツだし。革靴だし。

健司(M) 真っ暗な登山道。就活の帰りに、何をしているんだと我に返っていた。

夏美 面接で喋ることないから、何かしたいって言い出したの、アンタでしょ。

健司 だって……面接官が「うわぁ、こいつ個性ないなぁ」って顔してきてさぁ。留学とかボランティアとか何かしないとダメかなって……でも登山はねーだろ、登山はよぉ。

夏美 登山くらいぶっ飛んだことやったほうがいいの、インパクトが大事なんだから

健司 内定決まってる夏美はいいよな、気楽でさ。俺なんか、やっぱダメ人間なんだって思いやられるよ。

  SE ライトが消える

健司 おい、夏美!ライト消すなよ。前も後ろも真っ暗じゃん。

夏美 下ばっか見てるからでしょ、空、意外と明るいよ。ほら。

健司 気持ち明るいなってくらいだろ。この明るさじゃ歩けねーよ。

夏美 別に無理して歩かなくたっていいじゃん。たまには都会じゃ見えない夜空を見るのもいいでしょ?自然に囲まれてさ。

健司(M) そういうと夏美はスーツのまま地面に寝転んだ。仕方なく俺も同じように寝転ぶと木々の間から夜空が覗いていた。

夏美 別に、日の出とか、就活とか。ほんとはどうでもいい。ねぇ、健司。私は健司のこと駄目人間だなんて、思わないよ。

健司 …やっぱ、朝日。見たいなぁ。

———–fin————-

余談:テーマ「暗闇」にて。

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